インカの技術って面白い

(※ 都市デザインのところを追記)

■ 都市デザイン

マチュピチュ(旧アグアスカリエンテ)駅からのバスに乗りながら、いきなり要塞のようなマチュピチュ遺跡が現れたときのインパクトがすごかった。空中都市と言われるのがホントよくわかる。周りを見下ろすと、空に浮いているような感覚になってくる。このすごさを体感できて良かった!
下の駅から見上げても、上に遺跡があるとはわからないのだが、上からはアグアスカリエンテ駅が良く見える。マチュピチュは要塞都市であったという説もあれば、天文台を中心とした宗教都市だったとする説、王族の離宮だったという説もあるようだが、外部から攻めにくく内部から守りやすい設計になっているので、Hiram Binghamが発見した時に「インカの要塞」と紹介したのも頷ける。

でも、そもそもマチュピチュは「太陽を留める柱」と呼ばれるIntiwatana(下の写真)を中心に、コンドルの形にデザインされている。

ワイナピチュから見たマチュピチュ全景。羽を広げたコンドルに見えるだろうか。



(ref.http://www.travelpod.com/travel-photo/smee_elaine/south_america/1165181400/pc010236.jpg/tpod.html)
インカの世界観では、天上はコンドルが守り、地上はピューマ、地下は蛇が守ると考えられていたそうだから、マチュピチュは天上を象徴する宗教都市として設計されたのだろう。インカの首都クスコがピューマの形をしているのも同様。下の画像のように、インカ帝国時代のクスコは伏せたピューマの形をしていたそうだ。頭の部分に当たるのがSaqsaywaman要塞で、子宮の場所にはQoricancha(太陽の神殿)がある。

(ref. http://www.watsonsupply.com/charley/trips/peru/cusco.htm)


そう考えると、マチュピチュの景観がとても印象的なのも、そうデザインされているのではと思えてくる。周りの自然に溢れたアンデス山脈と、人工的な石組と芝生の平面が広がる都市。自然の荒々しさと幾何学的な都市構造の美しさが入り混じった風景が、強烈に心を捉えて離さない。ミスマッチが印象をより強くしているのだろう。


さらに、朝日が昇るころには奥のワイナピチュが人の顔のように見えるそうだ。絵葉書から抜粋。よくできているなあ。

ちなみにリャマは後から連れ込んだらしい。



■ 耐震・免震設計

これはクスコの石垣。赤い線で囲ったようにピューマが隠れている、らしい。

一番下に小さい石、上に大きい石があって、大きい石がジグソーパズルのように組み合わさっている。地震の時はP波(縦波・速い)S波(横波・遅い)があるが、P波に対しては上に重い石を置くことで安定させ、S波に対しては、小さい石と大きい石の層が分かれているのがポイントで、小さい石の層を大きい石の層の下でスライドさせることで建物への影響を少なくする免震構造になっているそうだ。
さらに、大きい石の組み合わせが壊れにくいようにわざとジグソーパズルのようになっていて、内側(2mぐらい奥行きがあるらしい)でも互いに組み合わさってロックするようになっているとのこと。

写真のような凹凸が石垣内部で組み合わさっているそうだ。

■ 段々畑による崩落防止、土壌管理と気温制御

崖崩れを防ぐだけでなく、肥沃な土壌の流出を防ぐように作られている。中国の山間部では、最近この段々畑技術を取り入れた農業をしているそうだ。マチュピチュの段々畑の勾配はすごいことになっている。

こちらは、Pisacの半円形段々畑。

Morayの円形段々畑。インカ帝国農業試験場だったらしい。

(ref.http://en.wikipedia.org/wiki/Moray_(Inca_ruin))

半円形・円形の場合は、下側ほど暖かくなるように設計されていて、異なる作物を栽培できたそうだ。

■ サイフォンを駆使した灌漑技術

写真はマチュピチュ上水道

サイフォンを駆使することで、ほぼ山の頂に位置するマチュピチュにさらに高地の水源地から水を引いているとのこと。500年以上(もしかしたら1000年以上)前の水道がいまだに流れてるってすごい。クスコでは上下水道として現在も使われてるそうだ。


また追記するかも。